主页 > 法人税 > (1)土地等の先行取得をした場合の課税の特例が創設されるとのことですが、どういう制度ですか。
(2)土地などの先行取得をした場合の課税の特例の適用に当たって、実務上、留意しておきたい点を教えてください。

(1)土地等の先行取得をした場合の課税の特例が創設されるとのことですが、どういう制度ですか。
(2)土地などの先行取得をした場合の課税の特例の適用に当たって、実務上、留意しておきたい点を教えてください。

Q(1)創設の内容
土地等の先行取得をした場合の課税の特例が創設されるとのことですが、どういう制度ですか。
POINT
事業者が、平成21年、22年に土地等を取得した場合、その土地等を先行取得資産としてその後10年間に売却した他の土地の譲渡益の80%(平成22年は60%)相当額を限度として、圧縮記帳が出来ることとする制度が創設されます。

A
①個人の場合
不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に、国内にある土地等(棚卸資産に該当するものを除きます。以下同じ。)の取得(個人の配偶者その他のその他人と特別の関係がある者からの取得並びに相続、遺贈、贈与及び交換によるもの、所有権移転外リ-ス取引によるものその他一定のものを除きます。以下同じ。)をし、その取得をした日の属する年の翌年3年15日までに、その取得をした土地等(以下「先行取得土地等」といいます。)につきこの特例の適用に係るものである旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に堤出した場合において、その取得をした日の属する年の12月31日後10年以内に、その個人の所有する他の事業用土地等の譲渡をしたときは、その事業用土地等に係る利益金額からその利益金額の80%(対象先行取得土地等が平成22年1月1日から同年12月31日までの間に取得をされたもののみである場合には、60%)相当額を控除した金額に相当する額をその事業用土地等のその譲渡による譲渡所得の金額とします(新措法37の9の5①)。

②法人の場合
法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に、国内にある土地等の取得をし、その取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに、先行取得土地等につきこの特例の適用を受ける旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に堤出した場合において、その取得をした日を含む事業年度終了の日後10年以内に、その法人の所有する他の土地等の譲渡をしたときは、その先行取得土地等につき、その他の土地等に係る譲渡利益金額の80%(その譲渡の日を含む事業年度においてこの特例の適用を受ける先行取得土地等が平成22年1月1日から同年12月31日までの間に取得をされたもののみである場合には、60%)相当額の圧縮限度額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額(剰余金の処分により積立金として積み立てる方法を含みます。)した場合には、その減額した金額に相当する金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます(新措法66の2①)。

Q(2)実務への影響
土地などの先行取得をした場合の課税の特例の適用に当たって、実務上、留意しておきたい点を教えてください。
POINT
先行取得土地等の取得価額の明細書の添付を適用要件とするほか、土地等が棚卸資産の場合には本事例の適用はありません。

A
①手続規定
(イ)個人の場合
(1)①の規定は、税務署長がやむを得ない事情があると認める場合を除き、この規定を受けようとする年分の確定申告書に、この規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、この規定に該当する事業用土地等の譲渡による譲渡所得の金額、その譲渡をした事業用土地等の譲渡価額及び対象先行取得土地等の取得価額の明細書の添付がある場合に限り、適用されます。(新措法37の9の5②③)。

(ロ)法人の場合
(1)②の規定は、税務署長がやむを得ない事情があると認める場合を除き、確定申告書にこの規定により損金の額に算入される金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、その確定申告書等にその損金の額に算入される金額の算入に関する明細書の添付がある場合に限り、適用されます(新措法66の2②③)

②実務上の留意点
(イ)土地等が棚卸資産である場合には、他の課税の特例と同様に、本特例の対象とはなりません。
(ロ)個人事業者の所有する土地等が事業用資産でない場合には、本特例の対象とはなりません。